人工授精とは

人工授精（AIH）とは、精子を洗浄・濃縮し、排卵の時期に合わせて子宮内へ直接注入する不妊治療の一つです。性交を介さずに精子を卵子のより近くまで届けることにより、妊娠の可能性を高めます。
これは体外受精のような「体外での受精」ではなく、「自然妊娠に近い形でのサポート治療」であるため、比較的負担が少なく、費用面でも抑えられるという特徴があります。タイミング療法で妊娠に至らなかった方や、精子の運動率がやや低下しているご夫婦に多く選ばれる治療法です。

このような方に人工授精がおすすめです

人工授精は以下のようなケースで検討されます。

• タイミング療法を一定回数行っても妊娠に至らない
• 軽度の男性不妊（精子の数や運動率の軽度低下など）
• 勃起障害（ED）や膣腟内射精障害
• 頸管粘液が少ない、あるいは精子が通過しにくい
• 原因不明不妊
• 卵管が片方だけ通っている、軽度の卵管因子

いずれも、女性の排卵が正常で、子宮・卵管の機能がある程度保たれていることが前提です。重度の卵管閉塞や重度の男性不妊がある場合は、体外受精（IVF）や顕微授精（ICSI）を優先的に検討する必要があります。

人工授精の流れ

当院では、以下のようなスケジュールで人工授精を行っています。

人工授精の妊娠率

人工授精の1周期あたりの妊娠率はおよそ5〜10%とされています。成功率は年齢や精子の状態、卵子の質、子宮内環境によって左右されます。
一般的には、5〜6回程度までの実施で妊娠に至るケースが多く、それ以上の回数で妊娠しない場合は、体外受精など次のステップを検討するのが望ましいとされています。

人工授精のメリットとデメリット

メリット

• 精子の運動性を高めて子宮内へ届けることができる
• タイミング療法より妊娠率が高い
• 体外受精より身体的・精神的・経済的負担が少ない
• 通院回数が少なく、短時間で処置が終わる

デメリット

• 妊娠率は体外受精ほど高くない
• 排卵誘発剤を使用する場合は副作用の可能性あり
• 複数回の実施で妊娠に至らない場合もある

人工授精の費用について

人工授精は保険診療では5,000円程度です。診療・検査・薬代も入れると1周期の自己負担額は1〜2万円程度になります。

よくあるご質問