反復着床不全とは？

「反復着床不全（RIF）」とは、体外受精や顕微授精などの不妊治療において、複数回にわたり良好な胚を子宮内に移植しても着床が成立しない状態を指します。具体的な定義は諸説ありますが、一般的には3回以上の胚移植を行っても妊娠に至らない場合に診断されます。
着床とは、受精卵が子宮内膜に付着し、そこから胎児へと成長を始める大切なステップです。着床がうまくいかないと妊娠は成立しません。反復着床不全は、患者さまにとって精神的・身体的にも大きな負担となり、治療への不安や焦りを強める原因となります。

なぜ反復着床不全が起こるのか？主な原因

反復着床不全の原因は多岐にわたり、ひとつだけでなく複数の因子が絡み合っている場合が多いです。主に以下のような原因が考えられます。

子宮内膜の異常

胚の問題

免疫学的問題

血液凝固異常（血液の流れの問題）

血液が固まりやすく、子宮内の血流が悪いと胚への栄養供給が妨げられ、着床が難しくなります。

ホルモンバランスの乱れ

黄体機能不全など、着床に重要なホルモン分泌が不足すると、子宮内膜の着床環境が整いません。

反復着床不全検査とは？

反復着床不全が疑われる場合、その原因を特定し、適切な治療を行うためにさまざまな検査を行います。

問診・生活習慣の確認

過去の妊娠歴、治療歴、生活習慣、ストレスの有無などを確認します。

ホルモン検査

血液検査で卵巣機能やホルモンバランスをチェックします。特に排卵に関わるホルモンや黄体機能の状態を確認します。

子宮内膜の検査

免疫検査

Th1/Th2検査、自然免疫細胞（NK細胞）の活性化、自己抗体の有無を調べます。特に抗リン脂質抗体症候群など、血栓症を起こしやすい自己免疫疾患の検査が重要です。

染色体検査

夫婦双方の染色体異常がないかを調べることもあります。胚の染色体異常リスクを推定する参考になります。

血液凝固検査

血栓症のリスクを調べるため、血液の凝固能を調査します。

反復着床不全検査の流れ

反復着床不全の治療方法

子宮内膜の異常には

ポリープの切除や筋腫の治療、子宮鏡手術などを行います。慢性子宮内膜炎が認められた場合は抗生物質治療を実施します。

免疫異常がある場合は

免疫抑制療法や抗炎症薬、抗凝固薬を用いることがあります。ただし効果には個人差があり、専門医の判断が必要です。保険適用外のものもあります。

ホルモン異常には

黄体ホルモン補充療法などを行い、着床環境を整えます。

血液凝固異常には

抗凝固薬の使用で血流改善を図ります。

胚の質の問題には

染色体検査を踏まえ、胚の選別や胚盤胞のグレード管理を行います。必要に応じて着床前診断（PGT）を検討します。

反復着床不全検査を受けるタイミング

反復着床不全検査は、3回以上の胚移植を行っても妊娠に至らない場合に検討されますが、不安が大きい場合や過去に流産歴がある場合は、早めに受けることもおすすめします。
検査は身体的・精神的・経済的負担がかかることもあるため、担当医とよく相談の上、最適なタイミングを決めましょう。

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